COOL JAPAN AWARD 2015 受賞
ジャンル 風景・まちづくり
表彰対象 黒川温泉の意匠
表彰対象者 後藤哲也様
地区 熊本県阿蘇郡
URL http://www.sinmeikan.jp/
概要
黒川温泉は、もともと阿蘇外輪山に位置する山あいのひなびた湯治場で、旅館の多くは多額の借金をかかえ混迷が続いたと言われています。そんな時代でも1軒だけ客足の絶えない宿があったが、それが黒川温泉の父ともいわれる後藤哲也氏の経営する 新明館であり、現在の黒川温泉の骨子となっている宿泊施設です。
当時24歳の後藤氏は裏山にノミ1本で洞窟を掘り始め、「風呂に魅力がなければ客は来ない」と考えていた後藤氏は3年半の歳月をかけ、間口2m、奥行き30mの洞窟を完成させ、そこへ温泉を引き洞窟風呂として客に提供しました。
後藤氏のテーマはただひとつ「自然の雰囲気」であり、現在の黒川温泉の共通理念となっています。
また 、単独の旅館が栄えても温泉街の発展にはつながらないと考え、温泉街一体での再興策を練り、すべての旅館の露天風呂に自由に入ることのできる 「入湯手形」を1枚1000円で発行しました。さらに、町全体に自然の雰囲気を出すため、全員で協力して雑木林をイメージして木を植え替え、町中に立てられていたすべての看板約200本を撤去しました。
その結果、温泉街全体が自然に包まれたような風景が生まれ、宿には鄙びた湯の町情緒が蘇えりました。
選考理由
一度は衰退した温泉街を強い信念を持って復興に向けてノミとハサミで切り開いた、後藤哲夫氏の努力とお客様への想い、地域を愛する心を称え、表彰いたします。